Reading For Pleasure

読書日記、ときどき食日記

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『探偵は壊れた街で』読書会 

関東地方はこの日、朝から猛烈な雨!京成千葉駅は水没したそうだが、横浜も朝はすごかった。
私もナダル敗退で、心が豪雨なんですけどーーー!!!
きっと優勝はマレーだな…

さて、さて、気を取り直して読書会に専念するのだ。
今回は幹事のおてもと氏が欠席のため、私が進行を代行しなくてはならない。ま、始まれば、進行とか関係ないんだけれど。飲むのと食べるのにも忙しいし(笑)

この日の読書会は全部で8名。梅雨のこの時期だからだろうか、最近の読書会の中でも最も少ないが、実は読書会はこれくらいの人数のほうが適しているのだ。少人数でまったりよ。
ギリシャとウィンブルドンでダブルパンチで弱ってたので、資料も作らなかった。

場所は横浜駅からほど近いいつものお店。実はここカラオケ屋なのだ。ホラこの通り。それに私たちは結構なお得意様なのである(笑)
KIMG0121.jpg

一度もカラオケやったことないし、お店の人たちは「この人たち、何やってるのかしら」と、さぞ不思議に思っていることだろう。

課題本は、先だっての「翻訳ミステリー大賞コンベンション」のビブリオバトルで東京創元社さんが推薦されていた『探偵は壊れた街で』である。
今回の読書会開催に際しては、東京創元社の担当編集の佐々木さんよりこんなメッセージをいただいた。
「ヘンテコな作品ですし読む人を選ぶ面もあるので、意見が紛糾すると思います。
おもしろかった! という方はわたしと好みが合うと思いますので、
今後も担当書をチェックしていただけますとうれしいです(笑)」

佐々木さん、ありがとうございました!

本書は、ハリケーン・カトリーナのもたらした惨事の後、未だ復興途中であるニューオリンズの街を舞台に、女探偵のクレア・デウィットが予知夢や易占いなどの独自のスピリチュアルな手法を用いて、検事補ヴィク失踪の真相を探るというストーリーである。


◆ 採点


今回の平均点は、10点満点中、5.5点だった!

Hanyaさん 7点
マリコさん 7点
ロデムさん 6点
Spenth  6点
福さん 5点
イガさん 4点

★Kameさん 3点
★Jiroさん 3点

個性的な作品なので、佐々木さんが言われるように評価はすっぱり割れた。
★は男性。予想はしていたが、男性陣には概して不評。ちなみに、おてもと氏(♂)も5点だとか。
他方、女性陣はこういうのは割と好きという声が多かった。

私は6点なのだが、私はだいたいにおいて点数が甘く(笑)参考にならない。でも、正直今年のトップ10に入ることはないかな
この手のエンタメは、どのくらい主人公に魅了されるかが勝負なのだが、そこがいまひとつ。本書のセレンビリティ的なものも私にはピンとこなかった。ウィリアム・K・クルーガーの『血の咆哮』 などはすごく良かったんだけどなぁ…。だが、オリジナリティはあるし、残されている謎がどう決着するかに興味もあったので、この点数とした。たぶん続編もでれば読むと思う。
ただ、個人的にはこの後に読んだ『夏の沈黙』のほうが読み応えがあって、断然好みだったかな。
意外だったのは、評判の良いエンタメに対してもいつも辛口のマリコ嬢の評価が高かったこと。
そうか、そういうものなのか…。


◆良かった点


*著者がテレビの脚本家をしていたせいか、映像的で読みやすい
*これくらいのオカルト(?)なら受け入れられる
*SFのように設定を受け入れてしまえば、楽しめる
*ありがちな若くて綺麗な女の子を主人公にせず、個性を持たせたのは良いと思う。
*オリジナリティがある
*ニューオリンズという街の独自性にスピリチュアルな雰囲気があっている
*ハードボイルドな語りとスピリチュアルな主人公のキャラとのズレが面白い効果
*全体的にディテールが凝っていて女性的
*シレットの娘とトレーシーの失踪の謎があとをひく(続編も必ず読むと思う)
*装丁が魅力的


◆悪かった点


*ハードボイルドではない
*クレアは探偵というより占い師か呪術師
*主人公に魅力を感じなかった(師匠のコンスタンスは魅力的に感じる)
*事件の真相がありきたり
*性の部分がでてこないなと思っていたら、案の定小児性愛ものだった
*アメリカの作品は小児性愛者ものがやたらと多い
*シレットの御託が大したことない
*小技をきかせようと多くの布石を打っているが収拾できていない

 →緑のオウムの柄のネクタイ、ベランダのオウム、外来種退治
 →クレア、トレイシー、ケリーと、アンドレイ、トレイ、テレルの親友関係とその崩壊の相関
 →シレットの娘ベラとクレアの親友トレイシーの失踪


もっとも多く聞かれたのが、「これ、ハードボイルドじゃないよね」
コンベンションのビブリオで佐々木さんが「探偵にできるのは、謎を解決し前に進むことだけだ」というフレーズにとても感銘を受けたとプレゼンされていたのだが、私はこの部分を探すのに二度読まなければならなかった。
なぜ探せなかったのかといえば、私自身が持った物語全体の印象がこの言葉のそれと違いすぎたからだと思う。
ちなみに、これの文章はP289の最終行に出てくる。
P285の「探偵を雇う人同様、私は自分の謎を解きたくないのかもしれない。中略〜なぜなら、犯罪が解決されれば、事件を終わりにし、先へ進まなければならないからだ。」というと対をなしている。
ここだけ抜粋すれば、ハードボイルドに思えなくもないのだが、やっぱり違う!
ハードボイルドといえば、何を置いてもチャンドラーであるが、あれは一言でいえば、男のやせ我慢の美学だと私は思うのだ。本書の主人公クレアはマーロウの対極にある気がするのだ。

もうひとつ、「ハードボイルドではない」と感じるのは、「探偵といものの概念が一般のそれから乖離しすぎている」せいもあると思う。クレアは、探偵というよりも占い師か呪術師というほうが適切なのじゃないかと思うくらい。
ただ、一応意識はしているのか、P202では、シャーロックばりに少年を観察して彼のことを言い当てるということも披露してはいる。が、Kameさん曰く、ここでもシャーロックの理詰め感が乏しく、推測の根拠がないために中途半端な印象。

著者がシャーロック・ホームズを意識しているのは間違いないようで、インタビューでも「シャーロックだって、お酒も麻薬もやっているし、彼はクレアを気にいると思う」と言っている。
また、「ホームズやエドガー・アラン・ポーのデュパン、フィリップ・マーロウは、彼女のやり方には感心しないと思うけれど、彼女が出す結果には満足してくれることでしょう」とも。

もしもあなたが、失踪人探しを探偵に依頼するとして、シャーロック、デュパン、マーロウと本書のクレアなら、誰に依頼したいだろうか?
私にはクレアという選択肢はないな。だって、世界一高い探偵とか自分で言ってる。何よりロデムさんのいうように、同じ結果を出すのでも、シャーロックならタダでやってくれそうだ。

おてもと氏も、メールで物語に入り込めなかったといっていたが、たぶん、主人公に魅力を感じなかったのではないだろうか。私もクレアよりもコンスタンスのほうが余程魅力的だと思ったもの。
ヒロインものというのは、難しいなとつくづく思う。






探偵は壊れた街で (創元推理文庫)


サラ・グラン (著), 髙山 祥子 (翻訳)
東京創元社 (2015/4/13)



Kindle版はこちら→ 探偵は壊れた街で

関連記事

category: 読書会

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: 海外ミステリ  読書会 
2015/07/04 Sat. 16:51 [edit]   TB: 0 | CM: 5

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この記事に対するコメント

Re: こころはポキポキの複雑骨折

naoさん、こんばんは。

もうね、私もフルボッコですよ!
ギリシャはまだしも中国はね…
逃げるが勝ちだと思って、身を切られる思いで、昨日かなりの部分処分しました。
待てば戻す可能性もありますが、中国はどうなってるのかわからないだけに怖すぎて。
おかげで大損ですよ、トホホホ…

ただ、これで安眠できます。
高い授業料でした…。


>ルへインさん、こんなに人物描写の巧いヒトとは知らなかったよ(失礼)。
でしょ?でしょ?
ルヘインはいいです。さすがですよね〜〜!
ちょっとした機微とか、そういうのがわかっているというか。

はやく「夜に生きる」の続編も読みたいですね〜

ルヘイン作品の映画版では、日本未公開ですが、いまのところベン・アフレックの『gone baby gone』が一番かと。

トム・ハーディは雰囲気が違う感じですよね。
映画といえば、私は『チャイルド44』もズッコけるのではないかという気がします(笑)
でも、レオ様がやらないだけマシかな。

私は今は「クロニクル4部作」の三作目です。
これは割とnaoさん好みかも。

では、では!



Spenth@ #- | URL | 2015/07/09 Thu. 22:11 * edit *

こころはポキポキの複雑骨折


昨日今日・・波乱はやみませんなぁ(中国はワカラン)・・ふう。
もう市場では大型台風ふたつの襲来を受けた惨状であります。
最近愚痴をこぼしにここを訪れているような。

「ザ・ドロップ」は映画のノヴェライゼーションの仕様ですが、
ルへインさん、こんなに人物描写の巧いヒトとは知らなかったよ(失礼)。

読んでいる間、映画版の舞台であるらしいブルックリンを想定して読みました。
原作はボストンの下町ですが、いまいち掴みにくいので。
おっかない(柄のよくない=穏当な表現)街というボストンの印象、
ベン・アフレック監督主演作『ザ・タウン』(佳品)のああいう感じを連想すればいいのかなぁ。

映画『ザ・ドロップ』ではボブ役をトム・ハーディが演じているとか・・イメージが違うような。
近作の主演作「マッドマックス」が大ヒットしたちともっさりした感じのヒト。
このヒトは近日公開(?)のあの『チャイルド44』にも出演しているのですなぁ。
そう言えばロブ・スミスの新作の刊行も近いとか(噂?)。

今はミステリより獅子文六の旧作を読み、
軽妙明快な文体で鬱気をはらっております・・癒される。

ではまた。

nao #6gL8X1vM | URL | 2015/07/09 Thu. 21:16 * edit *

Re: タイトルなし

naoさん、おはようございます。

全然セレブなんかじゃないですよ。
ここは飲み物をオーダーしても持ってくるのが遅いし、価格もやや高めなのですが、完全防音というのは何ものにも代え難い!

この『探偵は壊れた街で』は、男性陣には申しわけなかったような… 。
といっても私が選んだわけではないのですが。
占い好きな女性には向いているのじゃないかな?

それから、
ま〜〜たやらかしましたね。あの怠け者の国は…
彼らはお金がなくても、普段のライフスタイルを変えず、カフェで遅い朝のコーヒーを楽しみ、昼寝までしてるそうじゃないですか。
危機感とか全然ないのがすごいわ。
私は金融株が多いし、ヘッジの1552のおかげでダウが気になり夜もおちおち眠れないというのに、全く!
昨日先物が少しだけあがっていたので今日は期待したいですが、当分こんな調子なのでしょうね。
どう決着がつくにしろ、サイは投げられた。
もはや私にできることはないので、ギリシャ人をみならって今日はジムに行きます(笑)

『ザ・ドロップ』、私は良かったです。
ルヘイン作品にしては小粒感がありますが、やっぱりルヘインなんですよ。
はやく『夜に生きる』の続編コングリン家三部作の三作目も読みたいです。

Spenth@ #- | URL | 2015/07/07 Tue. 08:23 * edit *

なんかセレブリティな匂いのするカラオケルームでの読書会ですなぁ。
そんな読書会という逃避の場が欲しい気もする今日この頃・・。

しかし今日の市場、既視感というにはそう日も経っていない、
つまり先週と同じことを無駄に繰り返した今日一日なのでした。
某国にはペナルティとして、次のオリンピックでは最後尾入場のお仕置きを(ゆるい罰)。
過去バブルをやらかし、迷惑かけたこともあったろうけど、
某国ほど立振る舞いは酷くはなかったと思うぞ。
・・と、グチグチ文句言っても仕方ありませんが。

本書・・なんか読む気の起こらないタイプのミステリかも(失礼)。
ただ古都ニューオーリンズ(暗く湿った南部)の特徴的な景色は不気味を隠していて、
オカルト色濃密なその雰囲気は舞台として魅力的。
ブゥードゥー教の呪いでややこしい災厄いっぱい抱えこみそうだし
(偏見・・怒られる)。
あとマルサリス『シック・イン・ザ・サウス』はやはり名盤だと思う。

自分は薄いポケミスを一冊、ルへインの『ザ・ドロップ』読みます。
ではまた。

nao #6gL8X1vM | URL | 2015/07/06 Mon. 23:24 * edit *

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# |  | 2015/07/05 Sun. 16:20 * edit *

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