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読書日記、ときどき食日記

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『紙の動物園』読書会 


ナダッ〜ル、負けた…
調子も悪かったし、厳しいだろうなとは思ってたけど…
これで今年のGSタイトルはゼロ。プロになって初めてだわ…


ナダル絶不調、株は暴落、もう底は突き抜けてしまったが、人生、悪いこともあれば、いいこともあるさ。
どんなに惨めでも一切言い訳をせず、コートに立ち続けるナダルさん。
偉いわ!偉すぎる!その姿勢は、いつか必ず報われるはず!!!
ついでに、私の株もいつか持ち直すはず…???




ということで、気をとりなおして読書会のレビューなのである。
今月の課題本は『紙の動物園 』で、参加者はやや少なめの9名。
男性はおてもと氏のみというほぼ女子会状態。

場所は横浜駅近くのいつものお店だ。
料理もアルコールメニューまあ許せる程度で少々割高ではあるが、完全個室なので重宝なのだ。
KIMG0280.jpg


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この『紙の動物園』は芥川賞作家の又吉直樹センセイがテレビで推薦したことから火がついたらしいが、SF短編集だし、読書会は難しいだろうなぁと思っていた。
特に、本書は短編を通してのテーマが特に決まっているわけでもない。
でも、人数が少なかったのが幸いし、思ったより読書会らしい読書会になったかな?



平均点は、5.3点!(10点満点)
最高点は9点で、最低点はだった。一番多かったのは6点台。
予想はしていたが、キビシイ…

やはりテッド・チャンを意識して読んだという人が多くて、概してチャンに比べればやはり劣るいう評価。
私自身は、冒頭のような状況なので、どっしり重めなテッド・チャンより、ポップなケン・リュウのほうが好みだったかな。
なんだか最近、重たいものを読むのがしんどくなってきた…
はっ!!!もしかして、トシのせい???


この日は手帳もペンも忘れたので、メニューの裏と、もつさんがたまたま持ってた紙をいただいてメモメモ。
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▪️マイナスポイントは

・そもそも短編が苦手
・憧憬の対象としてのアジアがリアルではない
・中国茶で煮しめた感じ
・アイデアはいいが物語を構築する力が足りない
・新しさがない
・スケール感がなく、こじんまりとしている
・読みにくい
・テーマが薄っぺらい
・書き過ぎている



もっとも評判が悪かったのがヒューゴー賞に輝いた「もののあはれ」だった。
こんな日本人いるわけない!と反感を覚えた人が多かった。
「もののあはれ」は日本人の青年が宇宙船を修理するために自分の命を犠牲にするという話である。この日本人像は東日本大震災の時に海外メディアによって賞賛された日本人像を想像させる。非常下にあっても、我々は暴動も略奪も起こさず、おとなしく列をつくって順番を待ったのだ。

だが、逆に言えば、暴動すら起こせないほど、日本人は刈り取られてしまっているだけなのじゃないかということもできると指摘した人も…
潜在的にそういう思いを抱えていた人が、「もののあはれ」に潜むまやかしを感じたようだ。

ちなみに、私自身は、素直に「そうよね〜、日本人って偉いよね!」と納得したクチだった。時代劇を好んで読むタマさんも違和感を感じなかったそうだ。



「泣いた!」という人が多かったのが、表題作の「紙の動物園」である。私も、我が身を重ねつつ神妙な気分になった。
泣かせるのは最後の母親の手紙なのだが、これを書かなければもっと良かったという声もあった。要するに、全部明かさずに読者に類推させなさいよ、ということなのだろう。秘すれば花ということか。

しかし、もしこの部分をを書かないとなれば、何のことなのかわからないという人も多いのではないだろうか。
「紙の動物園」のテーマは、母と息子の関係だけではないのだ。背景にあるのは、文化大革命やその後遺症に苦しんだ時代の中国であり、母親はその象徴でもあるといえるだろう。

中国というのは、地理的には近いけども実は意外に知らない国だ。学校でも近代史をそれほど熱心にはやらないし、中国自身も、もはや前しか向いていない。
なので、あの手紙の部分がないとすれば、「カタログで見つけた花嫁」ということから、全てを類推するしかなくなるが、それは読者にも主人公にもハードルが高すぎるのではないだろうか。
母親の背景を知らなければ、主人公は軽蔑し続けていたかもしれないと思うのだが、どうだろう?




▪️よかったところは

・柳田邦男的で面白かった
・アイデアがユニーク
・著者は多方面にアンテナを張っている人
・クラシカルな面白さ
・壮大でセンチメンタルでキラキラしている
・哲学的

柳田邦男というのは、とても納得。
ケン・リュウはテッド・チャンに比べてはっきりと中国色がでているが、その下地には子供の頃両親に聞かせてもらった中国の昔話があるのだろう。
前エントリにも書いたが、そのような地方の説話を編んだ「聊斎志異」に似ているものも多い。
「聊斎志異」は怪異譚なのだが、この怪異とSFのイノベーションは相性がいい。『良い狩りを』などは最たるものだし、「波」ではマギーら人類は変異を続け、ついには身体を脱ぎ捨ててエネルギー体になるが、それと精霊のようなものはそう遠いものではないだろう。




ところで、カズオ・イシグロは日系の英国人作家だが、初期の頃は敢えて"日本人が書きそうな英語"で小説を書いていたのだという。当時、欧米の人々が日本にある種の憧れを抱いていることもあって、注目されたところもあるとハヤカワ主催のトークショーでも言っていたが、ケン・リュウはその中国版なのかも。
ちなみに、カズオ・イシグロ自身が両親とともに英国に渡ったのは、5歳の頃のことだ。日本に淡い郷愁を持ち続けてはいるものの、中身は英国人である。

『結縄』のアイデアは非常にユニークで、しかもその中に第三国の貧しい農民と遺伝子組換え作物の特許を握る巨大企業の問題も盛り込んでもいる。
果てない人間の利益のために、科学を突き詰めていけばいくほどに、立ちふさがるのは哲学的な問題だ。物語が下手だと指摘する声もあったが、個人的にはそれをコンパクトにかつ上手に物語に落とし込んでいると思う。

最後に盛り上がったのは、「波」の10歳のままで永遠にとどまることを選んだボビーは、子供としての可愛さがあるのだろうかということだった。10歳の少年の姿で、数世紀の経験を持っているボビーの脳は、本当に子供のままでいられるのだろうか。
どうも、可愛げはなさそうだけども…
この問題はそれこそ『寿命1000年』の時代が到来した時、わかるのかもしれない。






紙の動物園 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

ケン・リュウ (著), 古沢嘉通 (編集, 翻訳),
出版社: 早川書房 (2015/4/22)


Kindle版はこちら
紙の動物園



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category: 読書会

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: SF    早川書房  ポケミス  読書会 
2015/09/05 Sat. 18:19 [edit]   TB: 0 | CM: 6

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この記事に対するコメント

Re: タイトルなし

コメントありがとうございます。
私もちょっとショックでした…
そういう時代なのかもしれませんね。

また、次回お目にかかれるのを楽しみにしています。

Spenth@ #- | URL | 2015/09/15 Tue. 18:28 * edit *

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# |  | 2015/09/15 Tue. 14:31 * edit *

Re: タイトルなし

ジェットコースター相場ですね〜!
ま、昨日あのレベルあら日経が下げる理由もなかったわけで、売り方さんは踏み上げられたかな?

私はまだまだ雲の上での救助待ちなので、関係ないです…くすん

Spenth@ #- | URL | 2015/09/09 Wed. 11:42 * edit *

今日の日経はどうしたのでしょう・・猛反発!
天使が降りてきて、持ち株ぜんぶ利確できました。
しかし売値からさらなる上昇に憮然・・強欲を反省。
売って即出遅れ銘柄に乗り買えましたが・・ちとビミョーな事態に。

nao #6gL8X1vM | URL | 2015/09/09 Wed. 11:39 * edit *

Re: タイトルなし

naoさん、こんばんは!

おっそろしいことになってますよね。日経下げすぎ!!!ポートみるの怖すぎ…
ナダルも不調だし、全くいいことなしですよ。
一応、ニーサの分はあと5年猶予があるけども、5年で回復するのかな?
しない気がするわ…。

>(踏切の前に立つと何かしでかしそうな自分がコワいです??)。

や〜め〜て〜!!!
千代田線なんか人身だらけですよ…


>最近、世界崩壊(瓦解)する=カタストロフィな映画(DVD)ばかり選んで観て自分を慰めております。
『博士の異常な愛情』『トータル・フィアーズ』『デイ・アフタ・トゥモロー』と旧作ばかりですが。

ええ〜そうなの?
私は「崩壊」とかそういう単語は今は見たくないなぁ…
私の目下のお気に入りは、NHKBSの「世界わんわんドキュ⭐️」ですかね(笑)
癒されます〜



Spenth@ #- | URL | 2015/09/08 Tue. 21:19 * edit *

株というか日経というか中国経済というか、
なんかエライことになっておりますなぁ・・ガッタガタ。
大丈夫!・・喰らっているのはSpenthさんだけではありませんぞ。
自分ももちろんそうです・・みんなそうです・・もう真っ青です。
(踏切の前に立つと何かしでかしそうな自分がコワいです・・)。

最近、世界崩壊(瓦解)する=カタストロフィな映画(DVD)ばかり選んで観て自分を慰めております。
『博士の異常な愛情』『トータル・フィアーズ』『デイ・アフタ・トゥモロー』と旧作ばかりですが。

本は・・そうランペドゥーサ『山猫』を読んだのですが、
なかなかな読みごたえありました。
ではまた!

nao #6gL8X1vM | URL | 2015/09/08 Tue. 21:04 * edit *

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