Reading For Pleasure

読書日記、ときどき食日記

03« 2017 / 04 »05
1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.

街への鍵 / ルース・レンデル 

カメラで遊んでばかりで、積読が増えるばかり…
そんななか、連休も横浜でグダってた私が読んだのがルース・レンデルの『街への鍵』なのだ。

そのルース・レンデルはこの5月に鬼籍に入ったのだとか…。
ご冥福をお祈りします。
ruth rendell
眉毛の感じとか、毎日ジムで会うおばちゃんに似ているので、なんだか親近感が…


さて、本書はそんなレンデルの1996年の長編である。
その当時の英国を舞台にした作品なのだが、訳者の方がおっしゃるように、なぜか全く時代感は感じない。
群像劇のようなストーリーもミステリーの組み立ても月並みでなく、ルース・レンデルならでは。
それぞれの登場人物のストーリーが語られていき、最後、カメラがずずっと引いていくと、あっ!と全体像が見えてくるという仕立ては見事だと思う。

メインとなるストーリーの主人公はメアリ・ジェイゴという若く美しい女性だ。
裕福な祖母に育てられた彼女は、支配的で時に暴力をふるう恋人アステリアと暮らしていたが、ある時、白血病患者のために自分の骨髄を提供する。それは、メアリ自身で決めたことだったが、骨髄採取の針によって「日の打ち所のない美が損なわれた」ことに腹を立てたアステリアに殴られ、ついに彼の元を出て行く決心をする。
折しも、祖母の友人夫妻が旅行に出かけるため、リージェンツ・パークのそばの屋敷の留守を預かることにしたのだ。
新しい生活を始めた彼女は、かねてから自分の骨髄のレピシエントに会いたいと願い移植センターに連絡をとっていたが、ついにそのレピシエント、レオと出会う。
淡い金髪に白い肌の繊細な容姿のレオとメアリは顔立ちこそ違えど、双子のように似ていた。特別な親近感を感じた彼女は次第にレオに惹かれ深い関係になっていくのだが…。
一方、妻子を亡くしたショックから、ホームレスに身をやつしていたローマンは、ホームレスの自分にいつも挨拶をしてくれるメアリを遠くから見守っていた。

同じ頃、リージェント・パークでは「串刺し公」と呼ばれる殺人鬼によるホームレス殺人が立て続けに起こっていた。
リージェント・パークにはいるためのゲートには、どこにも必ず鉄製のスパイクがつけられており、「串刺し公」は、文字通りそのスパイクにホームレスを突き刺しにしたのだった…

 iron railing




物語は、メアリとレオ、ホームレスのローマン、メアリが預かっている留守宅の犬の散歩を請け負っている老人ビーン、レオの兄カールから暴力行為を請け負っている薬中のホブの視点を交えつつ、進行していく。

いかにも英国らしく、いわゆる階級差も顕著だ。ビーンが犬の散歩係だけあって、犬の描写もその陽気さが伝わってくるかのよう。犬好きさんは癒されるかも。
だが、このビーンの前職は執事。彼が執事をしていた頃に見聞きした出来事が、物語のひとつの鍵にもなっているのだ。
メアリの祖母や友人がアステリアと別れた彼女を励ますために催すパーティーの様子と、底辺のホブの生活との対比は生々しいまでだ。

本書の原題は「The Key To The Street」
日本語版では「街への鍵」となっているが、問題とされているのは街でもストリートでもなく、それを隔てているスパイクのついた鉄柵であるのだというところもまた面白いと思う。




街への鍵 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)


ルース・レンデル (著), 山本やよい (翻訳)
出版社: 早川書房 (2015/8/7)


Kindle版はこちら
街への鍵 (ハヤカワ・ミステリ)



関連記事

category: ミステリ/エンタメ(海外)

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: 海外ミステリ  早川書房  ポケミス  英国 
2015/10/14 Wed. 10:51 [edit]   TB: 0 | CM: 2

go page top

この記事に対するコメント

Re: タイトルなし

naoさん、おはようございます!

さすが!naoさんはご存知でしたか
私は本作で、彼女の本ははじめてでした。
しばらく日本での刊行はなかったみたいです。


>これはとても魅力を感じる終幕(構図)!・・ぜひ本作読みたいと思います。

割とツウ好みの作風だと思いますので、naoさんのお好みにもあうかな?
それぞれのストーリーも読ませるんですよ!
ハイ&ロー双方に対しての覗き趣味的嗜好も満足させてくれます(笑)


>自分は外出時、たまに撮るものといえば、猫ばかり。

私も近所のノラネコを狙ってましたが、後ろ姿すらとらせてくれませんよ…

レンズも欲しいし、はやく含み損生活から抜けたいよ〜〜〜!!!

Spenth@ #- | URL | 2015/10/15 Thu. 10:03 * edit *

ルース・レンデルさん・・?
『ロウフィールド館の惨劇』を昔読んで感心した記憶があって、
そこでプッツリ切れているのでした(ひょっとしたらもう一つくらいは読んでいるかも)。
彼女の著作を映画化した『石の微笑』という作は好みの作品でしたが・・著作とはお付き合いないなぁ・・。
彼女が影響を受けたというハイスミス作品は大好きで(女流ミステリ作家にあって最も好きな作家さん)、
後年の影響与えたというウォルターズ作品も好きなのに、
何か真ん中がスッポリ抜けてしまっている感じなのでした。

記事の中の・・<それぞれの登場人物のストーリーが語られていき、最後、カメラがずずっと引いていくと、あっ!と全体像が見えてくるという仕立ては見事だと思う。>。
これはとても魅力を感じる終幕(構図)!・・ぜひ本作読みたいと思います。

📷カメラでお出かけいいですなぁ。
自分は外出時、たまに撮るものといえば、猫ばかり。
なかなかおとなしくフレームにおさまってくれませんが・・。
ヤツらはみな用心深いです。
ではまた!

nao #6gL8X1vM | URL | 2015/10/15 Thu. 09:54 * edit *

go page top

コメントの投稿

Secret

go page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://spenth.blog111.fc2.com/tb.php/517-c2f79b31
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

go page top