Reading For Pleasure

読書日記、ときどき食日記

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失踪 / ドン・ウィンズロウ 

正月早々株価続落…
なんで〜〜〜〜〜〜!!!!

まあ、いいわ。もっと下がったらナンピンでもするか。
私は質素倹約を旨としているけれど、街中景気はかなり良さそうだし、豪勢な話もたくさん聞く。
増税の実施までは上がると思うんだけどなぁ…


さて、さて、『ミレニアム 4 蜘蛛の巣を払う女 』を読もうと思っていたのだが、ウィンズロウの新刊が目についてしまった。
ので、予定変更でウィンズロウの『失踪』から読むことにした。

ところで、ウィンズロウといえば、東江一紀さん。一昨年、鬼籍に入られてしまわれたのは周知の通りだ。
東江訳じゃないウィンズロウなんて、ナダルが優勝しない全仏と同じ!と、実は恐る恐る読んだのだが、これが実にすんなりと読めた。
というのも、これまでのウィンズロウ作品とはまた全然違う”極めてオーソドックスな文体”によるハードボイルド作品なのだ。『野蛮なやつら』 『キング・オブ・クール』 で極めた、ビートのきいた文体とは180度変えてきている。
「極めた!」と思うや否や、スタイルを変えるのがウィンズロウ!
幅があるというか、引き出しが多いというか。真に才能のある人は、決してワンパターンに甘んじたりしないものなのだなぁ、とつくづく思う。

AF_Winslow_740.jpg

アメリカ中西部、ネブラスカ州リンカーンで5歳の少女ヘイリーが失踪した。ほんのわずかな時間、母親が目を離していた隙に忽然といなくなってしまったのだ。シングルマザーに育てられていた黒人と白人のハーフで、黒髪に緑の瞳の女の子だ。失踪当時はマジックと名付けられた馬のぬいぐるみを持っていた。
ヘイリー失踪事件に、リンカーン署の刑事のフランク・デッカー(デック)は奔走する。しかし、何ら手がかりのないまま時間だけが過ぎていく。統計的には、子供が誘拐された場合、およそ半分が最初の1時間以内に殺害され、3分の2が3時間以内に殺される。そして、24時間以内にほぼ100パーセントが殺される。
皆がヘイリーの遺体を探すなか、デックだけは生きたヘイリーを探していた。
やがて誰もが望んでいなかったかたちで事件は展開する。今度は金髪碧眼の女の子だった…
その現場の目撃情報から、かつてデックが逮捕したことのある性犯罪者ゲインズが浮かび上がる。そして、金髪の女の子の遺体が発見されるのだった。
ヘイリー不明のまま、警察はゲインズ逮捕で事件の幕引きをしようとするが、ゲインズはヘイリーが持っていた馬のぬいぐるみの存在を知らなかった。
納得のいかないデックは警察を辞し、一人ヘイリー捜索を続けることを決意する。デックはヘイリーの母親に約束したのだ。絶対にヘイリーの捜索をやめないと。
わずかな手がかりを追い、デックはニューヨークへやってきくるのだが…
New York City Fifth Avenue

前半は重苦しい警察小説の趣があるが、舞台がニューヨークに移ってからは、ところどころにウィンズロウらしい退廃的な華やかさがみられる。
ニューヨークでデックが出会うのは、ファッションカメラマン、売れっ子のファッションモデル、超高級娼館のマダム、パークアベニューに住む資産家といった面々なのだ。
そして、ヘイリー失踪事件の顛末は、思いもよらない展開を見せる。当初想定された枠から大きく飛び立っていくのだ。

だが、サスペンスとしても十分面白いのだが、本書の本質はハードボイルドだと思う。
デックも多くのミステリ小説のなかの刑事の例に漏れず、妻との関係はうまくうっておらず家庭は風前の灯状態だ。ゲインズのような性犯罪者を捕まえても、また野に放ってしまうことに対してのやり切れなさも感じすぎるくらい感じてもいる。しかし、それよりも読者をひきつけるのは、少し「古臭い」と思えるほどの信念ではないだろうか。
例えば、「約束」について、彼はそれを「決して他人に奪われない唯一のもの」だと信じているし、女を殴る男は男ではないとも思っている。要するに、昔かたぎの心意気を持っているのだ。
そんなデックは、ウィンズロウのキャラクターにしては地味で、浮かれたところのない実直すぎるほど実直なタイプなのだが、それがまた新鮮だったりもした。

余談だが、ビッグニックスのハンバーガーを褒めるくだりなどは、ニール・ケアリーシリーズの頃からのウィンズロウのこだわりも垣間見られて、ちょっとにやっとしてしまった。
あのお店は、確かに美味しかったけど、バカみたいに大きかった記憶が…

ところで、『犬の力』 映画化されるそうだが、その続編『ザ・カルテル』をも含めた脚本になるという。
監督はリドリー・スコットで、ケラーにはディカプリオの名があがっているのだとか。う〜ん、リドリー・スコットは『火星の人』みたいなものより、やっぱりこっちのほうが合うと思うな。だけど、デブデブになってしまったレオ様はどうなんだろう〜〜〜?
この春あたり『ザ・カルテル』も刊行されると耳にしたので、そちらも楽しみだ。


失踪 (角川文庫)

ドン・ウィンズロウ (著), 中山 宥 (翻訳)
出版社: KADOKAWA/角川書店 (2015/12/25)

Kindle版
失踪 (角川文庫)






犬の力 上 (角川文庫)
犬の力 下 (角川文庫)

ドン・ウィンズロウ (著), 東江 一紀 (翻訳)
出版社: 角川書店(角川グループパブリッシング) (2009/8/25)











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category: クライム・警察・探偵・リーガル

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: 海外ミステリ  映画化  文庫  KADOKAWA 
2016/01/05 Tue. 23:24 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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