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読書日記、ときどき食日記

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謀略監獄 / ヘレン・ギルトロウ 

昨日はバレンタインでしたね〜〜〜〜
午前中の横浜は大荒れのお天気で、雷も落ちてた・・・
おデートのカップルは大変だっただろうなぁ。
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私も義理チョコのアソートもらったよん。



さて、甘いチョコとは裏腹に、本書は苦め渋めのハードボイルドなのだ。
しかも著者は女性!女性が描くハードボイルドって、「それ、ハードじゃないから・・・」というのが多いのだが、これは久々に大当たり。
"緊張を読ませる"というこの感じはどうよ?そして、同時に感傷的でもあるのだ。

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主人公はシャーロット・オールトン。上品で、裕福で、暇を持て余している。ロンドン港湾ドックランズの眺めのいい高層マンションに住み、オペラやパーティの席の好感度の高い同伴者だ。
その名は彼女の本名だが、その実、彼女はずっと前から単なる見せかけにすぎず、フィクションを維持するためだけに生きていた。
彼女には仕事上の名前がもうひとつあったのだ。ジョージス・マイリーの宿敵の名、「カーラ」がそれだ。彼女はかつて闇社会でIDや身分の偽造を専門としていた。そして、ある時、過去が彼女を追いすがってくる。
それが起きたのはロイヤルオペラハウスのバーだった。その日の演目は折しも「神々の黄昏」。ワグナー作のなりすましの物語で、ジョハンセンが彼女に会いにきたのだった。サイモン・ジョハンセンは、かつてギャング同士の対立に巻き込まれ、カーラに逃がしてもらった過去がある特殊部隊あがりの殺し屋だった。
ジョハンセンは、カーラに<プログラム>と呼ばれる監獄へ潜入させてくれるよう依頼する。それも囚人として。
彼は雇い主から<プログラム>内での殺人を請け負っていたのだ。
景気後退、犯罪者の多発、刑務所不足と予算の削減に悩む政府は、郊外の荒廃地に犯罪者自身が自主管理する地域を作った。壮大な実験、それが<プログラム>だ。表向きは施設内における個人の自由を謳っているが、内部は恐怖に支配されている。セキュリティは万全で、一旦入るとネズミ一匹外にでることができない。
おまけに<プログラム>を支配しているのは、ジョン・クィランだった。プロの犯罪者であり、ギャングの親玉であり、ジョハンセンが姿を消さなければならなくなった理由でもあった。過去の抗争の件以来、クィランはジョハンセンを殺したがっている。
カーラはその世界の仕事からは身を引いており、ジョハンセンにどんな借りもなかったが、依頼を引き受けることにする。彼女がやらなければ、他の誰かがやるだろうが、その誰かは彼女ほど彼を気遣わないだろうから。
かくしてジョハンセンはカーラの手配で、アメリカ人犯罪者になりすまし<プログラム>に潜入する。
ターゲットは、キャサリン・ギャラガーという女性医師だった。だが、カーラが調べても、被収監者のリストにその名はない。
なぜ彼女はそこに収監されているのか?どんな罪を犯したのか?
依頼人は一体誰なのか…?



『謀略監獄』というタイトルから、一見、難攻不落の脱出ものかと思いきや、実はラブストーリーでもあり、スパイ小説でもある。幾重にも張り巡らされた謎は、やがて思いもよらなかったところへと着地する。

仕事から身を引いていたシャーロットを引き戻したのは、ジョハンセンへの想いだけだったが、二人の関係は完全なプラトニック。いや、プラトニックはおろか、ほのかに生まれた感情だといっていい。それが、終始緊張を強いる本書にあってとても美しい。ひとは皆自分のことは自分で決めていると思い、その決定はすべて意識的なものだと思っているが、気がついたときはもう後戻りできなくなっていることも往々にしてあるものだ。その「どうしようもなさ」がもたらす切なさが本書の良さだ。

原題は「The Distance」。これは原題のほうが含みを持たせる意味でもよかったかな。
作中には、「スナイパーの習癖は世界を距離で把握させる」とあるし、シャーロット自身、過去から距離を取ろうとしていても、追いすがられてしまったのだから。

複雑で非情な陰謀はル・カレを思い出させるが、激しい暴力シーンも多く全体的に暗めのトーンなので、好みは割れるかもしれない。本書は著者のデビュー作だというが、私はCWAを受賞してもおかしくないのじゃないかと思う。



謀略監獄

ヘレン ギルトロウ (著), 田村 義進 (翻訳)
出版社: 文藝春秋 (2016/1/16)

Kindle版 謀略監獄 (文春e-book)









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category: スパイ・冒険・ハードボイルド

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tag: 海外ミステリ  英国  スパイ  ノワール 
2016/02/15 Mon. 17:22 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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