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読書日記、ときどき食日記

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真夜中の北京 / ポール・フレンチ 

日銀総裁は「マイナス金利は狙い通り」と言ってるらしいが、私なんて、まさに狙い撃ちされたようにズドンだわよ。
証券株も銀行株も十年スパンでの塩漬け確定 (T▽T)
5頭のクジラも大損は必至で年金もさらに少なくなっているかも。
立派なキャリアのある友人までもが将来を心配していたりする昨今。PhDで、日本と英語圏双方のキャリアにある程度のストックオプションまで持っている彼女でさえ将来が不安だというのだ。私なんかどうなるちゅーーのよ…
不安の蔓延は社会をさらに悪い方向へと導いてしまう。
歳をとって振り返ってみるならば、もしかして今は激動の時代の始まりなのかもしれないなぁと思ってしまう。


さて、激動の時代といえば、なんといっても第二次世界大戦前後だろう。
本書は、その大戦前の北京で無残に殺害された一人の少女をめぐるノンフィクション・ミステリだ。エドガー賞(MWA)の犯罪実話部門とノンフィクション・ゴールド・ダガー賞という、英米双方の権威ある賞に輝いている。
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物語の舞台は大戦前夜の北京。
当時の北京は清王朝の崩壊以来、次々襲ってくる襲来者の餌食となっていた。そして今、名目上中国を支配しているのは蒋介石の国民党だったが、北京は南侵をすすめる日本軍の足音に怯えている。
北京の外国人たちは、そのほとんどがリゲージョン・クォーターと呼ばれる狭い区域に固まって暮らしていた。リゲージョン・クォーターは外と厳密に区切られており、ゲートは武装した衛兵によって守られていた。だが、門内に一歩足を踏み入れれば、ロンドンやパリ、ワシントンかと見紛うほどのクラブやホテル、バーで賑わっていたのだった。ほとんどの中国人にとっては、リゲージョン・クォーターは第二の紫禁城、選ばれた一握りの人の遊び場だったのだ。
無残に切り刻まれた少女の死体が発見されたのは、狐狸塔のそばだった。狐狸塔には狐の精が住み着いていると言われていたため、夜は誰も寄り付かない場所だ。
少女の遺体は、肋骨が全て折られ体躯がむき出しになっていた。おまけに心臓が持ち去られていたのだ。そして、10代半ばに見えたその遺体の持ち主は、元英国領事ワーナーの19歳の養女パメラだったのだ。1880年代から中国で働き暮らしていた英国人のワーナーは、中国通として一目置かれる存在だった。
パメラ殺害事件は、中国側と英国側双方が担当することとなった。北京警察で訓練を積んだベテラン捜査官のハン警視正と、スコットランドヤードから天津英租界警察へやってきたデニス捜査官だ。
捜査の過程で、パメラには二つの顔があったことが明らかになる。学校での目立たない少女としてのパメラと、独立心が強すぎ手におえない大人の女性としてのパメラだ。
被害者が地位の高い外国人の娘であることは世間の注目を集め、おまけに現英国領事がワーナーを快く思っていないことで、事態は複雑になっていく…

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同じノンフクション・ミステリの「最初の刑事」に似てはいるが、極東の北京が舞台であり、日本軍の存在も大きいことから、日本人には本書のほうがより肌で感じられるのではないだろうか。
本書は、パメラの事件が、その不穏な社会背景とともに北京の古い韃靼地区を夜な夜な走り回る狐の精の伝説にかぶせて語られているが、それはデヴィッド・ピースの「占領都市」を思い出させた。「占領都市」も、「百物語」の怪物にかぶせ、帝銀事件を描いてみせた。その不気味さ、不穏さには圧倒されるが、本書も負けてはいない。
バッドランズという最下層の風俗街や、アヘン、ヌーディスト村、美しき両性具有のシュラの存在もまた、物語を引き立ててている。魔都といわれた当時の上海とは、また違った感じでヤバいのだ。

時代背景と政治的な駆け引きや圧力による隠蔽によって、パメラ殺害事件は、迷宮入りしてしまう。だが、信念の人であったパメラの義父ワーナーの残した膨大な資料のおかげで、小説として現代に蘇ったのだ。

執筆の顛末については、巻末の「執筆によせて」に詳しいが、それは毛沢東の伝記「中国の赤い星」にあった脚注がきっかけで、それをもとに掘り起こしていったのだそうだ。大部分はワーナーが独自の調査を記した膨大な手紙である。
後半は、ほとんどがワーナーの執念の物語といっていいだろう。
ワーナーがたどり着いた結末はおそらく真実だろうし、もしも時代が違っていたならば逮捕もできたかもしれない。
パメラ事件は、その後北京を、世界を襲う悲劇の予兆であったともいえるが、ワーナーの執念の調査はその流れに抵抗しようとしていたかのようにも思える。



真夜中の北京

ポール フレンチ (著), 笹山 裕子 (翻訳)
出版社: エンジンルーム (2015/8/11)


Kindle版 真夜中の北京





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category: ノンフィクション・新書

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

2016/02/24 Wed. 14:09 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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