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読書日記、ときどき食日記

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ゼロ / マルク・エルスべルグ 

3月11日にヤフーで「3.11」と検索すると、ヤフーから1人につき10円が、被災地復興にかかる団体に寄付されそうだ。つまり検索が寄付になるわけ(すでに終了)。

私は検索の代わりに買い物で貢献。
先日、”ハードボイルド鍋”でFさんがお持ちくださって、非常に美味しかった「香の蔵」の、豆腐の味噌漬けとクリームチーズの味噌漬けのお得なセットを買ったのだ。
「香の蔵」さんは、南相馬市のお漬物屋さん。
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飲んべえさんには超オススメ!ワインにもとても合う。
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2016年3月末日まで「お客様感謝セール」をやっているみたいなので、お酒の好きな方は是非試してみてくださいまし。
私も次は「あん肝」とか買ってみようっと。

それはさておき、ヤフーやグーグルなどの検索エンジンはもちろん、Amazonも、もはやなくてはならない存在だが、逆に個人情報を吸い上げられているとも言える。
優れたデータ収集プログラムを備えている彼らは、私のこれまでの検索歴や購買歴から、どういうものを欲しているか、どういうものに興味があるのかを極めて高い精度で予測しリコメンドしてくる。
とはいえ、トンデモ広告も表示されることもある。全然自分に関係ないと思われるものの広告だ。プログラムの精度もそんなものかと思っていたら、本書によれば、実はそれは「うまくいっているからこそ」なのだという。自分にどんぴしゃりのものばかり表示すれば、ユーザーは気味悪がるので、あえて見当違いなものも混ぜておくということらしい。恐ろしや…



本書「ゼロ」は、テクノロジー依存の世の中に警鐘を鳴らす、ドイツ発の社会派サスペンスである。

この物語では、フリーミーという巨大企業が開発した個人別のアドバイスプログラム、"アクトアプリ"から助言を受けることで、子供達は成績をあげ、ダイエットをし、恋の相談をし、よい結果を得ようとする。
自分に関する情報をフリーミーに集約すればするほどに、より的確で精度の高い助言が得られるのだ。その自分に関するデータは売ってお金に換えることもできる。
主人公のシンシアはITには疎いが、娘のヴィーなどの若い層は皆、積極的なフリーミーのユーザーだ。
そんなある時、「ゼロ」と名乗る匿名グループがドローンを用いてアメリカ大統領を襲撃する映像がネット上にアップされる。大統領は無事だったが、面目をつぶされたアメリカの諜報機関は大激怒、ただちに「ゼロ」捜索が開始される。
大統領襲撃というセンセーションナルな映像により一躍注目を集めた「ゼロ」の真の標的は、「データを独り占めする大ダコ」、フリーミーのような巨大IT企業だったのだ。

ロンドンの新聞デイリー社の記者であるシンも「ゼロ」の正体を探るべく、調査を始める。
上司の命令でスマートグラス(メガネ型情報端末)をかけて取材することになったシンは、1日だけの約束で娘のヴィーにスマートグラスを貸す。だが、それを装着して指名手配犯に出くわしたヴィーの友人アダムが殺されてしまうのだった。
アダムは、アクトアプリの「追うな!」という制止を振り切って手配犯を追いかけた挙句、撃たれてしまったのだ。
その時、アダムに何が起こったのか?
「ゼロ」を追うシン自身にも危険が迫っていた…
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本書の舞台設定はほぼ現代と同じロンドン。
違うのは、現実の世界より若干、アドバイスアプリといわれる種の開発が進んでいるだけだ。そのほかのテクノロジーは全て現実に存在するものであるという。
ただでさえ監視カメラだらけのロンドンで、皆がスマホやスマートグラスを使用する世界は、まさにジョージ・オーウェルの世界といっていい。一見、普通のメガネと変わらないスマートグラスを通してみれば、人のプロフィールも筒抜けだ。なんらかの形で過去にネット上に痕跡を残していれば、残さずオープンにされるのだ。すなわち、誰もが誰もを監視している。

著者はこの本の中のことは、今後十分に考えられるシナリオだという。
現実には、個別アドバイスプログラムだけは小説には及んでしないというが、それはフリーミーのアクトアプリがまさに自らが自己学習していく人工知能だからだからだ。
プログラムは常にイエスとノーで判断してそのうちの一つを試し、結果を分析する。結果が良ければ次も同じ判断をするし、悪ければ違う道を選ぶ。子供が間違いから学んでいく過程と同じだが、圧倒的に違うのは、人間と違い、プログラムはほんの一瞬で学習することだ。その度、アップデートし進化を遂げていき、環境に適応し成功をおさめる。判断を下すプロセスは、もはや人間には理解できない。
そして、プログラムはどんな諜報機関よりも、それどころかあなた自身よりもあなたのことを知っている。

本書の中では、それでもまだプログラムのアルゴリズムは人間の手によって管理されている。
しかし、そのアルゴリズムを恣意的に変えられるというのは、ある意味神の手ともいえるのだ。それはまさに、一人の人間、ひとつの企業によって支配されているともいえる。

この先、テクノロジーがいくところまで行き着いてしまえば、『人工知能 人類最悪にして最後の発明』で提起されているのと同様の問題が生じるのだろう。
ごく最近、テスラ社のCEOイーロン・マスク氏はAIの暴走を防止する会社を設立したらしい。フェイスブックのザッガーバーグ氏はマスク氏の行動について「ちょっと異常」と揶揄したという。私はマスク氏を笑えないが、あなたはどう思われるだろうか?

本書が描く世界は一見突飛に思えるかもしれない。が、その実かなりリアリティがある。
Googleが人工知能を開発する新鋭企業を買収してはや2年。これまでGoogleの中枢である検索エンジンは、人間の手による厳格なルールにもとづいたアルゴリズムを採用してきたが、ついに"人工知能"がとって変わろうとしているのだという。
Googleの設立者の一人セルゲイ・ミハイロヴィッチ・ブリンは、かつて「私たちの望みは、グーグルが皆さんの第三の脳になることです」と言ったが、それは現実になろうとしている。



ゼロ (上) (角川文庫)
ゼロ(下) (角川文庫)
マルク・エルスべルグ (著), 岡 むつみ (著)
KADOKAWA / 角川書店 (2015/12/25)

Kindle版
ゼロ 上 (角川文庫)
ゼロ 下 (角川文庫)


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category: ミステリ/エンタメ(海外)

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tag: 角川  文庫  英国  人工知能  ドイツ 
2016/03/14 Mon. 16:32 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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