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読書日記、ときどき食日記

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マプチェの女 / カリル・フェレ 

昨夜の風雨で桜も終了。 寂しいわ〜〜〜… P3310064.jpg 
 そんなこんなで、『マプチェの女』 著者はフランス人らしいけど、舞台はアルゼンチンで、徹頭徹尾アルゼンチンの物語だった!
 Kindle版の巻末にある著者紹介によれば、フェレ氏はフランスでは実力派の人気作家らしい。本書は2012年のランデルノー賞受賞、「リール誌」が選ぶフランス最優秀ミステリ賞を受賞しているという。 タイトルにある"マプチェ”というのは、南米の先住民族のひとつ"マプチェ族"のことだ。
 このフェレ氏自身が1976年の軍事クーデター直後にフランスに亡命した人なのかとも思ったが、『Zulu』を書いているところをみると、「民族」そのものに興味を持っており、それをテーマに書いている人なのかもしれない。

 Kindle版には解説もあとがきもないので、よくわからないんだけども… アルゼンチンで思いつくのは、タンゴ、マラドーナ、マルベックワイン。
テニスでいえば、ファン・マルティン・デルポトロ。 怪我に悩まされ今は低迷しているものの、デルポといえば、2009年の全米優勝である。当時、2強だったナダルとフェデラーを破っての優勝だった。今年ようやく復帰したらしいが、全仏ではまた活躍してくれるのかな? 
と、地球の裏側にあたるアルゼンチンに対する私の知識は乏しいのだが、知られざるアルゼンチン史を知る上でも、本書は多いに役立った。 All-sizes-Mapuche-People-of-the-Land-Flickr-Photo-Sharing.png 
主人公はマプチェ族の女ジャナ。
 18世紀に南米で起こったキリスト教徒による先住民掃討作戦で、マプチェ族は蹴散らされ、先祖から伝わる土地を奪われた。現在ではアルゼンチン人に占めるマプチェの割合は3パーセントにすぎず、その多くが南部の貧しい地方で暮らすか、大都会の郊外のスラムに身を置いている。 
ジャナは美大の学費をかせぐため身を売り、以降10年にわたってブエノスアイレスでアーティストとして活動をしてきた。 
あるときジャナは、女装のゲイの友人パウラ(ミゲル)から、ルカが行方不明になったと相談を受ける。ルカもまた女装のゲイで、生活費をかせぐため埠頭で客をとっていたのだ。果たしてパウラの心配は的中し、ルカは惨殺体で発見される。それも性器を切り取られ、それによって辱めを受けていた。
 ただでさえ、腐敗した警察は女装のゲイの殺人など真剣に捜査などしてくれるはずがなかった。
ジャナは私立探偵のルベンを頼るのだが、断られてしまう。 ルベンは国家再生プロセスの過程で拷問され抹殺された偉大な詩人の息子だった。ルベンとその母親は、軍事政権下で行方不明になった人と、彼らを虐待した連中を探し出すことに命をかけていた。
それに、ルベンは、マリア・ビクトリアという女性の捜索依頼を引き受けたばかりでもあったのだ。
 しかし、ルベンの調べが進んでいくうち、マリア・ビクトリアが失踪直前に殺された女装のゲイと会っていたことがわかる。
マリア・ビクトリアはブエノスアイレスの裕福な実業家の娘だ。その彼女がなぜ埠頭で客を引く貧しいゲイと会っていたのか? やがて、アルゼンチンの凄惨な歴史が浮き彫りになっていくのだが… Caryl-Férey-1024x680 
冒頭、著者自身がブエノスアイレスからの亡命者かと思ったと言ったが、写真をみると、彼はルベンそのものだったりするのだ。ご覧の通りの伊達男だし、年齢も一緒。そのせいか、ルベンっていい役なのだ〜!(笑) 

いい男には”影”が必要だが、彼にも自分の胸だけにしまい込んでいる凄惨な過去がある。 アルゼンチンの軍事政権下に起きた出来事は、フィリップ・カーの『静かなる炎』 にも描かれていたが、その横暴さが生んだ悲劇に対する叫びはその比ではない。残酷さというものは、なにもナチスドイツのみが担っているわけではないのだとつくづく思う。人間が持って生まれる性質のひとつなのだろうか。
  『ブエノスアイレス食堂』 も相当ショッキングだったが、こうした土壌でああいった文学が生まれるのもさもありなん、と思わせる。

 本書には、大きく二つの悲劇が奏でられている。
一つはルベンの体験した軍事政権下の悲劇で、いまひとつはジャナが負っている虐げられた部族の悲劇だ。
ストーリーは軍事政権下の悲劇に重きを置き展開していくが、主人公はマプチェの女のジャナなのだ。この互いに敵が異なる悲劇をどう料理するのだろうかと思っていたのだが、やや無難にまとめた感じだろうか。 

年齢(47歳)の割にかっこいいルベンと、美しいマプチェの女ジャナ。そして互いに心に傷を負っている…もうこれだけで想像がつくというものだが、案の定、愛が芽生える。
 ただ、これがないとあまりに救いがない。 

 アルゼンチンの近代史は強烈だったけど、マルベックワイン&ビュッフェ・デ・モロ、ピコスサワーは是非試してみたいなぁ!
ビュッフェ・デ・ロモはヒレステーキのことだそうです。 遠いのでなかなか実現しそうにはないが、一度はアルゼンチンにも行ってみたいなぁ…

カリル・フェレ (著), 加藤 かおり、川口明百美(翻訳) 
出版社: 早川書房 (2016/2/24)


Kindleストア マプチェの女 




フィリップ・カー (著), 柳沢 伸洋 (翻訳) 


PHP研究所 (2014/1/10)




 カルロス バルマセーダ (著), 柳原 孝敦 (翻訳) 


出版社: 白水社 (2011/10/8)





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category: ミステリ/エンタメ(海外)

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: 海外ミステリ  早川書房  文庫  アルゼンチン   
2016/04/08 Fri. 12:11 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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