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読書日記、ときどき食日記

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エアーズ家の没落 / サラ・ウォーターズ 

本書は、昨年末「このミス」入りしたサラ・ウォーターズの最新刊である。12月からの積読本になっていたのだが、やっと読めた〜。

好き嫌いはあるだろうが、さすがはウォーターズで鬱々としてるくせにエレガントなのだ。今回はお得意の"百合"は封印だが、こういう世界を書かせて、サラ・ウォーターズに敵う人っているのだろうか?
私は割とサラ・ウォーターズ好きです。ハイ。

さて、舞台は第二次世界大戦の痛手冷めやらぬ英国だ。時は労働党政権下で、かつては興隆を極めていたエアーズ家も、時代の趨勢とともに没落の一途をたどっていた。
物語は、終始ファラデー医師の一人称で語られていく。ファラデー医師は、当家のたった一人の住み込みメイドのベティを往診に訪れたのだ。
実は、彼の母親は、エアーズ家華やかりし頃に当家で下働きをしていた。そのため、彼自身も幼い頃にこの館を訪れたことがあり、その華麗さと壮大さに憧れを抱いていたのだった。だが、30年ぶりに訪れた館の凋落ぶりに彼は愕然とする。
エアーズ家の人々は、明らかに経済的に困窮していた。
大勢いた使用人は今はもうベティしかおらず、もしも彼女に去られたら、もうメイドは見つからないだろう。だから一家は、無理をしてベティのために彼に往診を頼んだのだ。しかし、ファラデーが診察してみると、ベティは仮病だったのだ。そして「このお屋敷は気持ちが悪い。何かがいる。家に帰りたい。」と言い出す。
医師はエアーズ家の人々の窮状に同情し、ベティに道理を諭すのだが、館は説明不可能な奇妙な現象に悩まされ始めるのだった…

これがミステリといえるか否か解釈は微妙で、多くの方はゴシックホラーとして読むのではないか。ラストに向けて、館はその不気味さを増していき、物語は怪奇ホラーの色を強く帯びていく。
最後に全ての辻褄のあうようなミステリーがお好きな方の好みではないかも。

邦題の『エアーズ家の没落』として""読むならば、これは滅びの物語だが、原題の「The Little Stranger」を意識して読むならば、少し様相は変わってくる。そもそも、ファラデー医師のいうことを読者は全部信用してよいものなのか。確かに、ファラデー医師にはどこか「ひっかかる」ところがあるのだ。本当に彼はいい人なのだろうか?
著者はその「ひっかかり」を明らかにはしない。なので、字面だけを追っていっても一体何が真相なのかはわからない。読む人それぞれが、深読みをし物語に欠けているものを補って読む作品なのかもしれない。



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category: ノワール・ホラー・サスペンス

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: サラ・ウォーターズ    海外ミステリ  英国 
2011/03/10 Thu. 10:33 [edit]   TB: 0 | CM: 2

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この記事に対するコメント

Re: タイトルなし

こんにちは。

> 『エアーズ家の没落』、映画のアザーズみたいな感じなんですかね?

えっと、アザーズがどんなのだったか覚えてないので、アレなのですが...
総じて面白いのではないかと思います。

zakさん的にハズレてしまったら、ごめんなさいです。

Spenth@ #- | URL | 2011/03/13 Sun. 07:32 * edit *

こんばんは!
『エアーズ家の没落』、映画のアザーズみたいな感じなんですかね?
新しいので読むのは先になりそうですが、読んでみたいです^^

zak #- | URL | 2011/03/10 Thu. 20:06 * edit *

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