Reading For Pleasure

読書日記、ときどき食日記

06« 2017 / 07 »08
1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.

古書贋作師 / ブラッドフォード・モロー 

ポケモンGo、流行ってますよねぇ。
ところで、わたし、ポケモンとピカチューが同じものだと、初めて知りましたでございまする。
しかし、ストップ安とはね…
もうすこし安くなれば任天堂株はお買い得だと思うけど、資金もないし関係ない(笑)

ポケモンGoは、そのポケモンをゲットして収集するゲームなんだそうだが、そもそもわたしには収集癖がないので、、、
本も、紙でなくてもいいのはもちろん、一回読むと消えても全然かまわない。
通常のKindleのDLより安い設定で、一定の時間が経過すると読めなくなるとかいうのも出してくれればいいのになぁ。
そういうと、友人に「それは、どうでもいい本しか読んでないからでは?」と鋭いツッコミをいれられた(笑)
おっしゃる通りでございます。


BradfordMorrow-JessamineChancredit_zps04e12d93.jpg 


それはさておき、本書は、稀覯本の贋作師の物語なのである。
物語は、終始「わたし(ウィル)」という贋作師の一人称で語られる。
「わたし」は、19世紀から20世紀にかけての作家のサイン入り贈呈本や手書き原稿の類を得意とする贋作師だ。そのカルグラフィィーの技術は、亡き母親によって磨かれた。法曹界関係者だった父は、その種の稀覯本の熱心なコレクターで、彼はアーサー・コナン・ドイルの万年筆まで持っていたほどだった。そのせいか、「わたし」が心酔するとともに固執しているのも、アーサー・コナン・ドイルだ。
「わたし」は、書店を経営しているアイルランド系の女性ミーガンと恋におちる。
ところが、そんな折、ミーガンの兄、アダムが両手を切断された状態で発見され、何も語らぬまま病院で息をひきとってしまう。
高級リゾート地モントークのアダムのコテージには、夥しい血液で汚れ、稀覯本が散乱していた。「わたし」は以前から気がついていたが、ミーガンの兄、アダムは「わたし」と趣味嗜好が同じ贋作師だったのだ。それも「わたし」には遠く及ばない贋作師だった。
兄を失い悲しみにくれるミーガンがようやく日常をとりもどそうとしていた矢先、「わたし」は警察に逮捕されてしまう。警察は一通の手紙の写しを携えていたが、それは「罪を認める旨の、わたし自身の自筆の手紙の写し」だった。
当然その手紙の筆跡は偽造されたもので、それはかつて、ヘンリー・ジェイムズ名義で「わたし」に脅迫状を送ってきた者の仕業に違いなかった。「わたし」からみれば、その手紙は偽物なのは明らかだが、裁判所ではそうもいかないだろう。わたしは、贋作を売った稀覯本業界の知り合い全員に、売った値段に割増しで上乗せして買い戻すことで、告訴をとりやめてもらうことで自分の罪を償う。
そして、それを機に「わたし」は贋作の世界から足を洗い、オークションハウスで真面目に働くようになったのだが…
一体誰がアダムを殺したのか?そして、「わたし」を脅迫し、陥れたのは誰なのか?


hound.jpg 


本書の面白さは、贋作師の職人としての矜持というか、性というべきものと、語りの妙、すなわち「わたし」が読み手にとって信ずるに足るか否かという点にあると思う。
作中、「わたし」はこんなことを思うのだ。曰く、「アダムは真似をしていたが、それに対しわたしは、創造していた」
贋作といえども作品には違いなく、腕を磨いていけば時に本物以上に本物になることもある。
20世紀最高の美術贋作師といわれているエルミア・デ・ホーリーは、名画のコレクションとともに美術館に飾られ、長い間そこにあり続ければ、それは本物になると語ったともいう。「偽りの来歴〜 20世紀最大の絵画詐欺事件」の贋作画家マイアットの"作品"はそれと知れず、有名美術館に「本物」として展示されているらしい。
そうした自分の仕事に対するプライドのようなものを持っているばかりか、贋作師は、その作品の偏執狂でもあり、おいそれとはやめられない。作中の「わたし」も、その欲望と葛藤するのだが、自分自身への言い訳と自己弁護は人間というものの性を暴かれているような気分になる。

原題は「The Forgers」ずばり贋作師そのものだが、fageという言葉そのものが持つそもそもの意味は、本来は「創造すること、作り象ること」だったのだそうだ。現在ではそれは、「贋造する、改ざんする」といった軽蔑的な意味に変わってしまったのだという。
このタイトル自体が、「わたし」というキャラクターを体現する言葉になっているのも面白い。

また、「わたし」ことウィルがコナン・ドイルの信望者ということもあって、彼の作品も多く作中に登場する。ドイルファンならではの楽しみもあるかも。

  
関連記事

category: ミステリ/エンタメ(海外)

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: 海外ミステリ  文庫  贋作  東京創元 
2016/07/25 Mon. 16:08 [edit]   TB: 0 | CM: 0

go page top

この記事に対するコメント

go page top

コメントの投稿

Secret

go page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://spenth.blog111.fc2.com/tb.php/650-3cacb4a6
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

go page top

RSSリンクの表示

リンク