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読書日記、ときどき食日記

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傷だらけのカミーユ / ピエール・ルメートル 

モロッコネタ続きなので、たまには読書ネタを…

この「傷だらけのカミーユ」は、モロッコにいく直前にDLし、飛行機の中やトランジットで読もうと思っていたのだが、結局帰ってからようやく読んだ。

本書「傷だらけのカミーユ」は、カミーユ・ヴェルーヴェン警部三部作の締めを飾る作品。
まあ、キテますよ・・・

      


「アレックス」「イレーヌ」を読まれた方は、ご存知だろうが、主人公のカミーユは145cmという低身長のパリ市警の警部だ。彼が率いるヴェルヴェール班には、ブランド品で身を固めた品も頭もいい御曹司のルイをはじめ、極度の吝嗇家で貰いタバコに命をかけているアルマンがいる(た)
フランスでの刊行は、「イレーヌ」が最初で、その次が「アレックス」だったが、日本では順序が逆になっているため時系列が逆になっているが、トリは本書。前2作品を読んでなくても楽しめるとは思うが、「悲しみのイレーヌ」とは直接話が繋がっているため、できればこちらと併せて読んだ方が楽しめると思う。

jewelry store robbery 
さて、物語は「悲しみのイレーヌ」で起きてしまった悲劇から5年、カミーユに新たな出会いが訪れるところから始まる。

彼女の名はアンヌ。しなやかなブルネットに澄んだ薄緑の瞳、まぶしい微笑みに"えくぼ”。40を過ぎても魅力は少しも損なわれていない。方や、カミーユは50歳で禿げていて、身長は145cmだ。そういう望みなどもはや持っていなかったし、イレーヌから他の女性に気持ちを移すことはえげつないことだとさえ思っていた。しかし、出会いというのはいつでも奇跡のようなものだ。
アンヌもまたカミーユと同じく過去に辛い経験をしていた。カミーユがアンヌを受け入れたのは、その辛い経験ゆえに未来を思い描くことができず、二人のことを「かりそめの関係」だと言ったからだった。そして、そう言いつつもアンヌはカミーユの一部になっていた。

身長145cmにして、実は多くの女性ファンを獲得しているカミーユだが、「いや〜、よかったわねぇ!」と思うのもつかの間、幸せはもろくも崩れ去る。

アンヌは宝飾店で強盗に出くわし、その一人から激しく執拗な暴力を受けて重症を負ってしまうのだ。命こそ助かったものの、美しかったその顔は叩き潰されてしまう。
しかも、アンヌはその宝飾店へ行ったのは、カミーユへの贈りものを受け取るためだった。
アンヌを襲った強盗一味は、有名なセルビア人が率いる一味と思われ、1日に立て続けに4件も襲っていた。
激しい憤りによって我を忘れたカミーユは、立場を利用し、大規模なセルビア人狩りを行う。
だが、それといった成果はあがらず、自らの立場すら危うくなってしまうのだった…

pierre lemaitre 
まず、最初に驚いたのは、カミーユシリーズで私が最も好きだったあのケチのアルマンが食道癌で亡くなってしまったことだ。これは結構、大きい。
だいたいにしてルメートルのこのカミーユ・シリーズは、激しすぎるほどの暴力と残忍さ非情さが描かれるのが定番なのだが、唯一それを和ませてくれるのがマルマンの存在だった。
したがって、本書には和みの要素ひとつもはない。和みどころか、今回カミーユはルイすらも頼ることなく一人で闘うことになってしまう。
しかも、カミーユは、一旦悲しみから立ちあがり新たな幸福を見つけた矢先に、不幸に見舞われるのだ。それも、自分自身に対してならまだしも、自分の愛する女性を傷つけられるという形で。

解説の方は、本書は「特捜部Qシリーズ」に匹敵する警察小説であると言っているが、本書に限っていえば、私はハードボイルドに近いのではないかと思う。
決して器用とはいえないカミーユの生き方は、マーロウのそれに当たらずとも遠からずといった感がある。
もしかして、この雰囲気を濃く出したいがために、アルマンを排したのだろうかと思うくらい。

ものすごい展開に驚かされる「アレックス」や、「イレーヌ」に比べれば、書き方それ自体は平凡かもしれない。
物語はカミーユ自身の視点と、犯人のそれの2つの視点から語られ、後半、その正体に驚かされるという趣向なのだろう。だが、カミーユ・シリーズのファンならば、最初から犯人の正体に気づいてしまうのだ。
そのため、謎解き自体が主体の類の小説たりえないのだが、陰影の濃いハードボイルドとしては読み応えがある。

賛否あるだろうな、という感じもするが、個人的には、「ルメートルさん、さすが!!!」と思う。







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category: クライム・警察・探偵・リーガル

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tag: 文春文庫  このミス  フレンチミステリ 
2016/10/25 Tue. 20:20 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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