Reading For Pleasure

読書日記、ときどき食日記

02« 2017 / 03 »03
1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.

オスロ警察殺人捜査課特別班 アイム・トラベリング・アローン / サミュエル・ビョルク 

ここ最近食指が動かなかった北欧ミステリ。なぜ読んだかといえば、失踪者 (Kindle版)」を読み終えた直後に紹介されたから。
帯に「北欧ベストセラー」とあったので、どんなものかいなとポチってしまったのだ。
正直、「世界中が震撼!」はしないと思う。が、結構楽しめた。


物語の舞台はノルウェー。主人公は前の事件で左遷を余儀なくされてしまったホールゲル・ムンクと、刑事を辞め田舎の島に引きこもって死ぬ日を待っていたミア・クリューゲルのコンビ。
初老の数学オタクで太っちょのホールゲルは、優秀な捜査官で、オスロ警察で殺人捜査課の特別班を率いていたが、ミアが起こした事件のせいで今は田舎警察に甘んじていた。
ところが、ある事件がきっかけで、ムンクは第一線に引き戻される。
小学校に上がる前の幼い女の子が木から吊るされているのが発見されたのだ。人形のようなドレスを着せられ、しかも首にはノルウェー航空の「I'm travering alone」のタグをかけられていた。
ムンクの復帰の条件はミアを連れ戻すこと。ムンクはミアが警察学校の学生だった自分に引き抜き、以来タッグを組んで事件を解決してきた秘蔵っ子だった。彼女はそれほど特別な才能に恵まれていたのだ。
今回もまた、ミアは写真をみただけで同様の事件はまた起こると見抜き、実際に次の犠牲者が発見される。しかも、この事件は2006年に女の赤ちゃんが連れ去られた事件と関わりがみられた。この事件はスウェーデン人看護師のヨアキム・ヴィークルンドが「誘拐の責任を取る」と書き残して自宅で首を吊ったが、赤ちゃんは発見されず、結局迷宮入りしてしまっていた。
そして最初の女の子パウリーネのバッグ書かれていた名前「JWリッケ」は、「ヨアキム・ヴィークルンドではない」という犯人からのメッセージだとミアはいうのだ。
事件の周囲には、謎めいた宗教団体が見え隠れし、ムンクの母親も全財産をその教会に寄附しようとしていた。
果たして犯人の目的は・・・

Edvard_Munch.jpg 
数学とクラシックと煙草をこよなく愛する太っちょのムンクと、第六感に優れ、アメリカ先住民のような面立ちとノルウェー人特有の青い瞳のミア。
こういうキャラも雰囲気も嫌いじゃない。「失踪者」とはうって変わってエンタメ性も強いつくり。

ただし、このボリュームからすれば価格はお高め。アマゾンの画像も昔の写メ並みなのに・・・
Kindle版だからなのかもしれないが、訳者あとがき」もなく、全然関係ない研修本の適当文字だけ広告を見せられるのは確かに白ける。色々事情もあるのでしょうけども。

しかも、本書はシリーズものでUKではこの第二弾も好評だ。
版元はこの本が売れたら、そのお金で第二弾の版権をとるつもりなのかもしれないが、真面目な話、売りたいなら最初から文庫で出してくれなくちゃ。
今時こんな「ザ・死霊」みたいな装丁の、厚くもない本、よほどの人じゃない限り2,000円も出して買わない。

Frode Sander Øien 

本書の著者のサミュエル・ビョルクはノルウェーの作家で日本初上陸だと思うのだが、本書にはほとんどなんの情報もない(少なくともKindle版にはない)。調べてみれば、著者は、いわゆるマルチタレントというやつらしく、シンガーソングライターで脚本家もこなすらしい。
小説デビューは本書らしいが、脚本家と聞いてなるほどと思うことしきり。

人形が着ている黄色いドレス、ミアの黒髪と青い瞳、ノルウェーの海岸に立つサマーハウス・・・
映像的でエンタメ性もあり、従来の「暗くて陰惨一辺倒路線、はいはい、北欧は大変なんですね・・・」的ではないのは買うが、個人的には二時間ドラマみたいというか、ややサクサクすぎている感じもしなくもない。
また、「ミレニアム」のリスベットのようなハッキング能力や直感像記憶といったはっきり名前のついた能力と異なり、ミアのそれが曖昧なものであることに不満を感じる人もいるかも。事件の真相についても、その経緯についても賛否あることだろう。
北欧ものからしばらく距離を置いていたせいかもしれないが、それでもなかなか面白かったかな。
ミアもムンクもこれだけキャラが立っているのに、返す返すもったいないなぁ!


関連記事

category: クライム・警察・探偵・リーガル

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

2017/03/09 Thu. 21:17 [edit]   TB: 0 | CM: 0

go page top

この記事に対するコメント

go page top

コメントの投稿

Secret

go page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://spenth.blog111.fc2.com/tb.php/740-c238ee92
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

go page top