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読書日記、ときどき食日記

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謀略の都 1919年三部作1 / ロバート・ゴダード 

「地中の記憶 」は2週間もかかったというのに(笑)、本書「謀略の都1919年三部作 1」は1日で読み終えられる。年々集中力はなくなってきているが、興味には如実に比例する。それくらいのゴダード・ファン。

Montmartre.jpg 

ただ、惜しむらくは、講談社さんが電子版を出してくれないこと…
全く、何回アマゾンの「Kindle化リクエスト」のボタンを押したことか。
しかし一向にそれらしき気配はない。もうじき完結編も発売されるというのに。

ともあれ、電子版がない本なぞ、余程のことがない限り買うものかと堅く心に誓っているが、ゴダードはその余程のことだ。ゴダード作品には、基本ハズレがない。ややウェットなところも、それが美しい日本語で翻訳されているところも好きで、新刊がでればパブロフの犬のよろしく条件反射で買ってしまう。
しかも、本作はスパイ小説であり、トリロジー(三部作)仕立てだというではないか。これが"余程のこと"でなくしてなんだというのだ。
短い本ばかりが持て囃される昨今であるが、誰がなんと言おうと、わたしは堂々たる長編小説が好きなのだ。これは単品料理よりも、コース料理にありがたみを感じるのと似ている(ラーメンや焼き鳥とかも好きだけどね…笑)

というわけで、久々に紙の本を手にしたのだが、前述のとおりあっという間に読んでしまい、即座に第二部の「灰色の密命」をポチり、5月半ばに出るという第三部の「宿命の地」を予約注文までしてしまった!

eiffel1.jpg 

さて、本書の舞台は1919年のパリ。
パリは今もアブない旅行先となったが、1919年もそうだった。
第一次世界大戦が終わり、米、英、仏、伊、日の連合国の代表団がドイツに対し講和条約締結に向けた協議を行っていたが、この締結がなされるまでは、まだ戦時下だったのだ。

主人公は元英国陸軍航空隊のパイロット、ジェイムズ・マクステッド(マックス)。これが絵に書いたようなかっこいい主人公なのだ(笑)彼は、父親の地所を利用して軍時代の部下サムとともに航空学校を作ろうとしていた。
そんな折、マックスの父サー・ヘンリーがパリで急死する。
サー・ヘンリーは日本やロシアへの外交経験を持つ外交官で、英国代表団としてパリに派遣されていた。しかし、彼は宿舎から離れたモンマルトルのアパートの屋根の上から転落するという不審な死を遂げた。そのアパートには、美しい未亡人マダム・ドンブルーが住んでおり、彼女と男女の関係にあったサー・ヘンリーは足繁く通っていたらしい。
地元警察は事故として処理し、英国代表団やマックスの兄も体裁を考え、事を荒立てず、穏便に済ませようとする。しかし、マックスはそんな彼らの意向に逆らい、一人パリに残り真相を突き止めようと決心する。
そして、サー・ヘンリーが大金を集めるために外交上知り得た秘密を売ろうとしていたことを突き止めるのだが…

British_Air_Section_at_the_1919_Paris_Peace_Conference.jpg 

帯には「第一次世界大戦の混沌を生きる スパイ小説」とあるが、はっきりってスパイ感はまだ薄い。
第一部ではまだマックスはスパイではないのだ。

翻訳者の方もおっしゃっていたが、物語自体の雰囲気は「ダウントン・アビー」に似ている。
「ダウントン・アビー」は第一次世界大戦前後の時代に翻弄される英国貴族を描いたテレビドラマであるが、時代設定もドンピシャ!
家柄はグランサム伯爵家ほどではないが、マックスの母、レディ・ウィニフレッド・マクステッドは、グランサム伯爵家の長女メアリーそのもの。マックス自身もサムとは今だ上官と部下の関係だ。当然、家柄の良いマックスが中尉で、5歳年長のサムが軍曹なのだが、それは二人の体格差でも歴然としている。英国人は体格とその話し言葉で属している階級がわかる。
もっとも、ジョン・ル・カレの詐欺師の父親は、あえて自分の田舎訛りを上流階級風のアクセントになおしたというが…
また、飛行機乗りがスパイとして活躍するというのは、フォーサイスの自伝「アウトサイダー 陰謀の中の人生」を思い出させる。言われてみれば、マックスの性格は"アウトサイダー"のフォーサイスそのものだ。

ただ、それだけではないのがゴダードなのである。
ゴダードといえば、過去の秘密。
第一部では、マックスはその扉の前に立ったばかりだが、今後、実際に起こった歴史的事件とサー・ヘンリーの本当の秘密は交錯していくはずだ。歴史の裏に蠢く多彩な登場人物も魅力のひとつ。マックスが生まれた土地「日本」も必ず登場するだろう。ゴダードは日本をどう描くのだろう?
そして、そこには、サー・ヘンリーだけではなくマックスの母の秘密や、思いもかけない形での「愛と裏切り」が待っているにちがいない。
マックスの冒険が今から楽しみだ。


 

    


    

   
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category: スパイ・冒険・ハードボイルド

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag: 海外ミステリ  文庫  英国 
2017/04/28 Fri. 11:54 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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