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読書日記、ときどき食日記

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フランケンシュタイン野望 / D.クーンツ 

メアリー・シェリーによるゴシック小説の名作『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメセウス』のその後ともいえるべき作品。もし可能ならシェリーの「フランケンシュタイン」を読むとさらに面白いのではないかと思って近所の図書館で探したのだけれど、なんとなかった...!
そもそも蔵書に問題のある我が区の市立図書館だが、探し方の問題なのかな?
Amazonで注文してそれをまた待つというのもなんなんで、あっさりしてしまったのだが、クーンツ作品なので原作を読んでなくても全く問題なし。

SFとホラーとミステリがミックスされた良質なエンターテイメントだと思う。いややっぱ、大御所のエンタメというのはいいなぁ。そしてこれが意外に深いのだ。
クーンツ自身の宗教観、さらには「哲学的ゾンビ」を連想させる新人種、幸福とは何かについてまで考えさせる。

さて、物語の舞台は、シェリーの「フランケンシュタイン」から200年の時を経た現代、天才科学者ヴィクター・フランケンシュタインによって創造された怪物はデュカリオンと名乗り、チベットの寺にいた。(デュカリオンはプロメセウスの息子の名前)
自らの邪悪な衝動を抑え込む努力を続け、心を鎮め平穏を見いだそうとしていた彼の元に、一通の手紙が届く。あのヴィクターが生きている!デュカリオンは寺を去り、速やかにアメリカに向かう。
ヴィクター・フランケンシュタインはニューオリンズで、ヴィクター・ヘリオスと名を変え、確かに生きていた。メアリー・シェリーが人伝えに聞いたあの話には、実は誤りがあったのだった。
ヴィクターは人間でありながら、最先端のテクノロジーを駆使し、その後の200年を生き延びていたのだった。240歳を超えようというのに、その容姿は45歳にしか見えない。バイオベンチャー企業で大成功をおさめたヴィクターは、ある野望を抱いていた。欠陥だらけの従来の人間を、彼の創りだした新人種に置き換えることで、世界を征服しようと目論んでいたのだ。新人種は、ヴィクターによって生きる目的をプログラムされているため、逆らうことはない。不満を抱くことも、病気になることはないし、怪我もすぐに治癒する。
彼が築こうとしている世界は、まるでハックスリーの『すばらしき新世界』のようなものだった。ハックスリーはディストピアとして『すばらしき新世界』を描いたが、ヴィクターはそれをユートピアだと信じている。
そんな時、ニューオリンズの街で、凄惨な殺人事件が立て続けに起こる。女性は殺害されて身体の一部を持ち去られ、男性は生きたまま内蔵を取り除かれていたのだ。
捜査に乗り出す女性刑事カースンと相棒のマイクルは、一番最後の被害者に心臓が二つあることを知り、驚くのだが…


この「クーンツのフランケンシュタイン」の面白いところは、シェリーが描かれていたヴィクターと怪物(デュカリオン)の悪役が入れ替わっていることだ。本書では、ヴィクターは邪悪な人物として描かれている。
ヴェクターは、この世界で神に成り代わろうとする。彼の創りだした新人種というのは、外見は人間(以下、旧人種)とまるっきり同じに見えるが、創造主たるヴィクターによってその生の目的さえも決められている。ゆえに、旧人種がなぜ幸福感を感じるのかがわからない。
それは、果たして人間といえるのか、人気の幸福とは一体なんなのかが、このシリーズを通じてのテーマなのだろう。
ちなみに、クーンツはこのシリーズを全3部作にしようとしているのだという。

欠点をあげるとすれば、もうずばりこのダサい邦題だろうか。
なんで「フランケンシュタイン野望」って…!!!
原題はProdigal Son ルカ伝の悔い改めた放蕩息子のことだ。
この放蕩息子の話のは、人間が神の庇護を離れ自分中心な生き方をすることの惨めさむなしさと、それでも赦す神の愛を説いているといわれている。
こっちのほうがカッコイイと思うけどなぁ!

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フランケンシュタイン野望 (ハヤカワ文庫 NV ク 6-12)フランケンシュタイン野望 (ハヤカワ文庫 NV ク 6-12)
(2011/02/18)
ディーン・クーンツ
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category: SF ファンタジー

thread: 最近読んだ本 - janre: 本・雑誌

tag:   SF  ゴシック  早川書房  クーンツ 
2011/04/21 Thu. 16:18 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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